一般飲料水(井戸水など)水質検査

一般飲料水(井戸水、湧水など)
水質検査の概要

一般の家庭に水道事業者(市町村等)や専用水道から供給される水道水については水道法及び厚生労働省令による51項目の水質基準があり、皆さんはこれに適合した水を飲んでいます。また今後、新たな水質汚染が問題となった項目については水質基準に追加されていくことになっています。

これら以外の一般の飲料水(井戸水、湧水など)についても水質検査やその判定を行なう場合は、水道法に定める検査方法や水質基準を準用することとされています。

特に井戸水については平成16年1月に厚生労働省より「飲用井戸等衛生対策要領」の改正通知が出されました。その内容は次のとおりです。

一般用飲用井戸(個人住宅、寄宿舎、社宅、共同住宅等で飲用として使用)
業務用飲用井戸(官公庁、学校、病院、店舗、工場、その他の事務所で使用)

  1. 新たに飲用井戸を設置した場合は、給水開始前に別表1~40の計40項目の水質検査を実施し、 これに適合していることを確認すること。なお、38及び39については水源が湖沼水等でない場合は省略することができる。
  2. 消毒を行なっている場合には、消毒の効果及び別表40’~51(消毒副生成物)の12項目についても検査すること。
  3. 一般用飲用井戸、及び業務用飲用井戸については別表1~10の項目すべて、 及び他の項目(有機溶剤その他)のうち必要と思われる項目の水質検査を年1回実施すること。
  4. 上記以外の井戸(設置者の自己飲用井戸)についても、上記の飲用井戸と同様の水質検査を、年1回実施することが望ましい。
  5. これらの水質検査は、地方公共団体の機関、または厚生労働大臣登録の水質検査機関に依頼すること。
【別表】
  • 1 塩化 物イオン
  • 2 有機物(全有機炭素の量)
  • 3 一般細菌
  • 4 大腸菌
  • 5 pH値
  • 6 臭気
  • 7 味
  • 8 色度
  • 9 濁度
  • 10 硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素
  • 11 ジクロロメタン
  • 12 シス及びトランス-1,2-ジクロロエチレン
  • 13 四塩化炭素
  • 14 ベンゼン
  • 15 トリクロロエチレン
  • 16 テトラクロロエチレン
  • 17 水銀及びその化合物
  • 18 銅及びその化合物
  • 19 鉄及びその化合物
  • 20 マンガン及びその化合物
  • 21 亜鉛及びその化合物
  • 22 鉛及びその化合物
  • 23 六価クロム及びその化合物
  • 24 カドミウム及びその化合物
  • 25 セレン及びその化合物
  • 26 ヒ素及びその化合物
  • 27 ナトリウム及びその化合物
  • 28 アルミニウム及びその化合物
  • 29 ホウ素及びその化合物
  • 30 カルシウム・マグネシウム等(硬度)
  • 31 フッ素及びその化合物
  • 32 亜硝酸態窒素
  • 33 蒸発残留物
  • 34 陰イオン界面活性剤
  • 35 フェノール類
  • 36 非イオン界面活性剤
  • 37 1,4-ジオキサン
  • 38 2-メチルイソボルネオール
  • 39 ジェオスミン
  • 40 シアン化物イオン
  • 40′ 塩化シアン
  • 41 臭素酸
  • 42 塩素酸
  • 43 クロロ酢酸
  • 44 ジクロロ酢酸
  • 45 トリクロロ酢酸
  • 46 ホルムアルデヒド
  • 47 クロロホルム
  • 48 ブロモジクロロメタン
  • 49 ジブロモクロロメタン
  • 50 ブロモホルム
  • 51 総トリハロメタン

一般の家庭で水質検査を希望される場合は、まず別表1~10の基本項目検査をされることをお勧めします。

日常頻繁に使用している井戸では水が入れ替わり比較的水質は安定していますが、長期間使用していなかった井戸では水が滞留しているため水質は悪化しています。

また掘ったばかりの井戸では色、濁りが見られ一般細菌も検出されることもあります。このような場合は水を汲み出し、きれいな地下水と入れ替わり井戸が落ちついてから検査されたほうがよいでしょう。

最近、水質基準に不適合となることが多いのが硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素の項目です。 これには地質的要因、農業用肥料、し尿、家庭雑排水、工場排水等などの原因が考えられますが、主に農業用化学肥料の溶出の場合が多いようです。

この基本項目検査で異常が見られた場合、 またもっと詳しい検査を希望される場合は11~40の項目を加えた全項目検査があります。

このうち11~16の物質は一般に有機溶剤とよばれ、 これらは、溶剤、柔軟剤、塗料希釈液、部品洗浄剤、ドライクリーニング用溶剤などとして広く使用されています。 これらの化学物質は地中にしみこむと分解しにくいため、いつまでも残留し、地下水を汚染します。 また、水脈の影響で思いがけない地域の地下水から検出される場合があります。

38,39はカビ臭気の原因物質で、湖沼水などの藻類が発生しやすい水源の場合以外は省略できます。

40’~51の物質は水の塩素処理、消毒等によりできる副生成物であり、消毒をしていない一般の井戸水等では検出されることはありません。

水質検査の受付について

受付方法・・採水と採水容器
  • 当センターで採水容器をお貸ししますので、それに採水し、依頼書とともにお持ち下さい。
  • 基本項目検査の場合のみ、一升びんやミネラルウォーターの空ボトルを使用しても結構ですが、その場合はびんの内部を充分に洗って下さい。なおジュース類のボトルはにおいが残ってしまっているので使用しないで下さい。
  • 検査項目により必要な水量や容器が異なります。不明の点はお問い合わせ下さい。
検査受付日
  • 毎週 月、火、水曜日の午後3時まで。
  • 検査の精度を保つため受付日を限らせていただきます。
  • なお祝日等のため受付日を変更することもありますので、ご依頼の前にお問い合わせ下さい。
  • 検査の結果は「水質検査結果書」として依頼者へ郵送いたします。
採水方法
  1. 100ミリリットル 滅菌ガラス(ポリ)びん<細菌検査用>
    • 容器は滅菌をし、薬品を入れてあるので、ゆすがない。
    • 理化学用の水を採取した後、いったん水を止める。
    • 次に、マッチ、ライター等の炎で、蛇口を軽く焼いて滅菌する
    • 次に、しばらく水を出した後、ガラスびんの九分目まで水を取り(満杯にはしない)、すばやくふたをしっかりとしめる。
  2. 1リットル ポリびん、5リットル ポリタンク<理化学検査用>
    • 検査をする水道の蛇口、またはポンプの出口を開き、導管中にたまっていた水が新しい水と入れ換わるまで、水を充分流す。
    • 容器を検査する水で2~3回ゆすぐ。
    • 次に、検査する水を採水容器に満杯にし、できるだけ空気を残さないように、しっかりとふたをする。
  3. 2リットル ネット巻ガラスびん<理化学検査用>
    • びんを検査する水で2~3回ゆすぐ。
    • 次に、検査する水をびんに満杯にし、できるだけ空気を残さないように、しっかりとふたをする。
  4. 250ミリリットル ポリびん<揮発性有機物質・消毒副生成物用>
    • びんを検査する水で2~3回ゆすぐ。
    • びんを傾け、静かに泡立てないように水を取り、ほぼ満杯になったら1分間ほど静置して気泡が抜けるのを待つ。
    • びんに水を満杯にし、できるだけ空気を残さないように、しっかりとふたをする。

    この「揮発性有機物質等」はたいへん鋭敏な分析方法のため、採水の際に注意が必要です。ペンキ、有機溶剤、揮発油などが周囲にないか、また採水者の衣服、靴などにこれらの物質が付着していないかを充分確認して採水して下さい。